小児科でよくある質問7選 あおきこどもクリニック 稲毛 千葉市稲毛区

小児科でよくある質問

小児科でよくある質問

こちらのページでは、小児科でよくある質問と解答をご紹介してきます。特に一人目のお子さんのはじめての発熱などの場合に、知っておくと少し不安が解消されるのではないかと思います。ぜひご一読ください。

question

何℃以上が発熱ですか?

小児科では一般的に、37.5℃以上を発熱と考えます。37.4℃以下は、少なくとも明らかな発熱とは考えません。平熱の高い低いは関係なく、37.5℃で線引きをしています。

question

熱が出ました。夜間や休日でもすぐに小児科を受診したほうがよいですか?

年齢・月齢によって対応が変わります。

0歳3か月未満の赤ちゃんが、明らかに38.0℃以上の発熱がある場合には、夜間でも休日でも早急に小児科医の診察を受けるべきです。3か月未満の赤ちゃんの発熱は、入院が必要な病気による発熱が多いためです。37.5℃以上の場合も、できるだけ早くの受診をお願いします。

0歳4か月以上の場合は、3ヶ月未満ほどの緊急性はありませんが、とくに0歳の赤ちゃんの場合は、少なくとも翌日~翌々日には、一度は小児科を受診することをおすすめします。

基本的に年齢・月齢が上がるにつれて、発熱の原因が入院を要する病気である確率は低くなっていきます。そのため、4か月以上の0歳児も、3か月未満ほどではないものの、5~6歳の発熱よりは明らかに入院を要する病気の確率は高いです。

また、インフルエンザに関しては、発熱してすぐだと、本当はインフルエンザなのに検査をしても陽性とならない場合があります。一般的に、発熱後12時間以上経過したあとの検査でないと、陰性だからインフルエンザではないとは言えません。時間が早いから出なかっただけかも知れないからです。周囲でインフルエンザが流行していて、検査を希望される場合は、発熱してすぐよりは12時間以上経過してからの受診をおすすめします。ただしこの場合でも、3か月未満の赤ちゃんは、できるだけ早急に受診をするようにしてください。

question

熱があるときに、解熱剤は使ったほうがよいですか?使わないほうがよいですか?

解熱剤=解熱鎮痛剤は、ウイルスや細菌などの感染によって引き起こされる炎症を抑え、炎症によって起きる発熱や痛みを抑えます。炎症を抑える薬であって、病原体をやっつけるお薬ではありません。なので、熱が下がったように見えても、病原体をやっつけたから熱が下がったわけではなく、一時的に炎症を抑えているから熱が下がるだけです。根本的な解決にはなっておらず、あくまでも一時しのぎに過ぎません。

ただし、高熱が続くと体力を消耗しますし、小さいお子さんは熱でしんどいせいでぐっすり眠れず、夜に何度も起きてしまったり、ずっと不機嫌で親御さんも参ってしまうということがあります。一時しのぎではありますが、薬が効いている間だけでもぐっすり眠れるのであれば、そちらのほうがトータルで見て有益なと考えられます。

逆に、熱は高くても意外に元気にしていて、夜もぐっすり眠れている状態であれば、解熱剤を使用する意味はあまりありません。

以上のことから、使うべきか使わないべきかは、その時の状態次第ということになります。

question

解熱剤を使ったのに熱が下がりません。

小児科で使用する解熱剤は主にアセトアミノフェンという成分になります。アセトアミノフェンは、炎症を抑える効果はややマイルドですが、安全性が高いため、小児科では「解熱鎮痛剤≒アセトアミノフェン」と言えるくらいよく使われます。効果がマイルドなため、40℃近い発熱があるときにアセトアミノフェンを使っても、36℃台の平熱まで下がることはまずありません。投与量が少ない場合には、1℃も下がらない場合もありえます。

当院では、安全に使える範囲内で、できるだけ高用量で処方するようにしています。基本的に作用は量に依存するので、使用するのであれば安全に使える最大量で使用すべきと考えているためです。それでも、少なくとも40℃の熱を36℃に下げるほどの効果は期待できません。2℃下がるようなら、かなり効いたと考えてよいと思います。

question

解熱剤で熱が下がったと思ったら、また熱が出ました。

上の質問でも書きましたが、解熱剤は炎症を抑える薬であって、ウイルスや細菌などの病原体をやっつけるお薬ではありません。なので、発熱の根本的な原因が解決されるわけではないので、時間が経って解熱剤による炎症を抑える効果が切れたときに、まだ病原体の勢いが活発であれば、また熱は出ます。原因が細菌であれば抗生剤の使用で改善することが期待できますが、ほとんどの風邪の原因であるウイルスに対しては、ウイルス自体をやっつけるお薬がありません。この場合は時間が経って自然に治るのを待つしかありません。それまでの間は適宜解熱剤を使用していくことになります。

question

熱が出ても、抗生剤は必要ないのですか?

ほとんどの場合は必要ありません。抗生剤は細菌をやっつけるお薬です。発熱の原因が明らかに細菌であれば、多くの場合で使用すべきです。ですが子どもの発熱の95%はウイルスが原因と考えられています。その場合はむしろ使うべきではありません。抗生剤はウイルスに対してはなんの効果もありません。さらに問題になるのが薬剤耐性菌=抗生剤が効きにくい・効かない細菌の出現です。

かつて日本の医療界では、熱があればとりあえず抗生剤を処方していた時代がありました。上でも言及したとおり、このとき使われた抗生剤のほとんどは、なんの役にも立っていません。それどころか、抗生剤を大量に使用したことにより、抗生剤に耐えられる菌=薬剤耐性菌ばかりが生き残るという状況を生み出しました。

細菌の世界でも、細菌同士で勢力争いをつづけています。細菌にとっては人間と敵対することが目的ではなく、他の生き物と同様に、自分の種を存続・拡大させることを目的としています。その勢力争いのなかで優位に立てるのは、その環境に最もよく適応できた種です。抗生剤のない環境では、わざわざ抗生剤に耐えるためにエネルギーを費やしている種は、他の種との競争には勝てません。ところが、抗生剤のある環境では、抗生剤に耐えられるものが圧倒的に優位に立てます。こうして、さまざまな薬剤耐性菌が出現してしまいました。

その反省から、できるだけ不要な抗生剤の使用を避けようという考えが主流になりました。当院でも、必要な場合は躊躇せずに抗生剤を使用しますが、不要な抗生剤の使用はつつしむよう心がけています。

question

粉薬をいやがります。よい飲ませ方はありませんか?

代表的な方法は、他のものに混ぜることです。では何に混ぜるとよいか?となりますが、代表格はアイスクリームです。とくに、乳成分を多く含むタイプのバニラ味かチョコレート味がおすすめです。お薬を飲めたら、ご褒美をあげるのもよいと方法です。頑張る動機になります。

他にはチョコレート、練乳、ココアなどもおすすめです。

逆に混ぜないほうがよいものもあります。その代表はフルーツ味のジュースです。一部のお薬は、酸味のあるものに混ぜると、余計に苦くなることが知られています。フルーツの味は基本的に酸味と甘味で、その酸味のせいで苦みが強くなってしまうのです。

実際には小児科で出すおくすりのほどんどの粉薬は苦くありません。実際に、指にちょっとだけつけて味見していただけるとわかりやすいです。ただし、中には苦みのあるものもあります。その代表が解熱鎮痛剤=アセトアミノフェンと、一部の抗生剤です。アセトアミノフェンは多少苦いかな?という程度ですが、抗生剤の一部(クラリスロマイシンやアジスロマイシンなど)は大人でも苦いなと感じます。苦みを感じにくいように、甘いコーティングがなされているので、口に入れた最初は苦くないのですが、時間が経ってコーティングがなくなってしまうと、急に苦くなります。

これは子どもからすれば、甘いと思ったのに苦かった、となるわけです。だまされたように気分になっても不思議ではありません。これはお薬不信を招きます。他のお薬も甘いと思わせて実は苦いんじゃないか。

question

のどの診察をいやがります。どうしたらよいでしょうか?

小児科の診察において、のどの状態の確認は、正確な診断のためには必要不可欠なことです。できれば避けたいことですが、いやがるお子さんに強引にのどの状態を確認させていただく場合もあります。お子さんにとっても小児科医にとっても避けたい事態です。

どういう状態ののどが見やすいのかというと、口を大きく開けて、声を出すか、口で息をしている状態です。よくあるのが、口は大きく開けているけれど、のどが塞がっていてみえない状態です。大人の方であれば、鏡の前で口を開け「んー」と「あー」を発音したときの、のどの様子をみてみてください。

「んー」のときはのどが塞がってり、「あー」のときはのどが開いているのがわかると思います。また、鼻呼吸・口呼吸のときののどの様子もみてみてください。鼻呼吸だとのどが塞がり、口呼吸だと開くのもわかります。のどの診察のときにしてもらいたいのは、この「のどを開いている」状態なのです。

まずはお父さん・お母さん自身が、どうすると「のどが開いた」状態になるのかを確認してみてください。そのうえで、お子さんに「こうすると、のどがこんなふうによく見える」見せてあげてください。そのうえで、お子さんとと練習してみてください。

そして、いやな診察をできたときには、仮に泣いて暴れてしまったしまったとしても、頑張ったことをほめてあげてください。ご褒美をあげるのもよいと思います。次に頑張るモチベーションになります。

question

注射や検査をいやがります。どうしたらよいでしょうか?

注射は痛いです。鼻の検査も痛いです。痛いことをされるのですから、いやがるのは当然です。私もいやです。痛いけれど、必要だから仕方なく受けるわけです。これは、その場の痛みという短期的なデメリットと、その後に得られる長期的なメリット(検査結果、治療効果、予防効果など)を天秤にかけたときに、メリットのほうが大きいという損得計算をしているわけです。小さなお子さんには長期的な未来予測はまだできません。そのため、注射や検査のメリットは計算対象外で、その場の痛みだけが計算対象。当然デメリットが大きいと判断し、それを避けようとします。

注射や検査の際に動いてしまうと危ないため、じっとできない場合には動きを押さえさせていただく場合があります。こればかりは安全のためにはやむを得ないことはご理解いただきたいです。

そのうえで、たとえ暴れてしまっても、泣いてしまっても、注射や検査ができたのなら、そのことをほめてあげてください。大げさなくらいにほめてあげてください。ご褒美をあげるのもよいです。痛みという短期的なデメリットと、ほめてもらえる・ご褒美がもらえるというような、子どもにもわかりやすい短~中期的なメリットがあると、頑張る動機になります。

日本小児科学会

日本小児科学会でも、一般の方向けの情報を発信しています。お時間のある際に、ご一読ください。

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